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文化財保存修復研究所

修復部門

中部地方の文化財を中心に修復物件の受け入れを行っており、地域文化財の保護保存に努めています。また、大学教育機関として、修理技術者を招聘した大学院生向けの保存修復実習などを通し、文化財にかかわる人材の育成にも取り組んでいます。

研究活動

受託事業および受託研究で受け入れる修復作品について、それぞれの作品状態に合わせた修復を進めるため、来歴や作品に用いられた材料、あるいは制作技法等の調査や研究により修復方針を検討し、より良い保存状態を保てるように修復作業を進めます。そのような過程の中で得られた情報やデータ、そして培われた修復技術は、今後の新たな文化財修復においても活かされます。

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教育活動

研究所で行われる修復受託事業?研究での作業では、実習として本学の大学院生等も作業を部分的に体験する機会があります。また本学のみならず近隣の大学を含めた学芸員資格取得を目指す博物館学課程での実習では、研究所その他の学内現場見学が行われ、普段表に出る事の少ない修復や模写制作分野について、直接学ぶ機会を創出しています。さらに文化財修復の専門的な技術について、学内向けや一般向けにレクチャー講座等を企画開催し、文化財への関心を高め、さらには文化財保存に関わる人材の育成に努めています。

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作業工程のご紹介

日本画(絹本)作品の修復作業

「毘沙門天」岐阜県岐阜市真長寺「十二天像」のうち

修復工程は作品の状態から判断しますが、大まかに①解体、②洗浄及び旧裏打ち紙の除去、③補填(必要に応じて)、④本紙の裏打ち(新しい裏打ち紙)、⑤新しい表具裂の裏打ち、⑥表具に仕立てる、といった流れになります。浄水による洗浄によってヤニ埃等の汚れがある程度除去されるだけでも、作品がすっきりと見やすくなります。そして、裏打ち紙や表具を新調することで作品の現状維持を目指します。

①修復前の状態

汚れ、表具裂の傷み、折れなどが見られます。

②表打ち

本紙(絵)の表側に布海苔で和紙を貼り付け補強します。

③肌裏除去

傷んだ裏打ち紙を丁寧に除いていきます。

④補填(ほてん)

本紙の失われた部分(欠損部分)を裏から絹で補います。

⑤表装

本紙と表具に用いる裂に新しく楮紙で裏打ちし、仕立て直します。

⑥完成

油画作品の修復作業

①修理前の状態

絵具の浮き上がり、剥落が見られます。

③亀裂、および浮き上がり接着

額縁から作品を取り出し、膠で亀裂や浮き上がりを接着します。その後画面を清掃します。

⑤充填?整形?補彩

絵具の欠けた箇所に、充填剤を充填し、整形します。

充填?整形を行った箇所に溶剤型アクリル絵具を用い周囲の色調に合わせて補彩をします。

⑦ワニス塗布?完成

保護層とするため樹脂ワニスをスプレーで塗布し、修復完了です。